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火箸風鈴(柳田)

明珍火箸 「みょうちんひばし」と読む。

夏が苦手である。夏の暑さは得意ではない。
が、夏の風物詩である風鈴が昔からなんとなく好きだった。
中学の修学旅行で行った岩手で購入した南部鉄の風鈴を我が家ではずっと愛用してきた。見た目の涼やかな江戸風鈴のガラスの容姿も魅力的だが、南部鉄の澄んだ音色が、茹だるような暑さをふと癒してくれる気がして、夏になると風の通り道にぶら下げている。

さて、明珍火箸である。
明珍家は兵庫県姫路の元々は平安時代から続く甲冑師の家で、明治維新後はそれまで余技だった茶室用の火箸の製作に転じたらしい。現在はその火箸を4本ぶら下げた火箸風鈴を製作し、姫路の伝統工芸品となっている。
何年も前にテレビでこの火箸風鈴が紹介され、テレビ越しにだがその音に魅了された。
私の祖母の実家が姫路で、趣味人だった曾祖父がまだ風鈴としての火箸が製作されていない頃から、明珍火箸を吊り下げて音色を楽しんでいたらしい、と火箸に興味津々な私を見て母が教えてくれた。益々興味が湧いた。

そして数年前に関西方面に行った折に、思い切って姫路まで足を伸ばし妙珍本舗に赴いた。
小さな工房であった。まだスマートフォンなど持っていない頃に道に迷いつつ訊ねていった。まるで何年も片恋をしている相手に会いに行く、と言ったらさすがに大袈裟だが、恋少なき私にとってはそれに近い心持ちであった。
明珍火箸は鉄を打って作られている。その火箸の風鈴の音色は実際に聞くと思っていたより低音なように聞こえたが、機械越しの音声ではわからない音の幅があり余韻がある。たぶん以前にテレビで聴いたのは玉鋼を使用した稀少なもので、ちょっと私の懐では手の出ないものだった(片恋はまだ続くらしい)が、いくつかある火箸の中から音色を聞いて気に入ったものを一つ購入してきた。

打ち込まれた鉄の音色は澄んでいて、不思議な余韻がある。南部鉄の風鈴ともまた趣のことなる音色で、中央にぶら下がる舌(ぜつ)が微かに触れるだけで涼やかな音を奏でるのが、微風を感じられて心地好い。
本来、冬の道具である火箸を夏の涼を得るものとして使うというのも何だか面白い。

涼しく過ごすには冷房をつけるに越したことはないのだが、「涼を得る」という言葉にはこんな些細なことが合うんじゃないかと、暑さでグダグダしながら考える。今年もまだ暑さは続きそうなので、もう少し火箸にわずかな涼を求める日が続くようだ。

柳田

柳田祐希の画像
柳田祐希 2016/09/02 18:30

教室移転予定のお知らせ

教室よりお知らせです。

突然のお知らせとなり恐縮ですが、10月末に教室を移転することが決定しました。

先月末に当教室のビルの売却が決まり、私どもも直前まで知らされていなかったため、
突然のお知らせになってしまい、申し訳ございません。

移転先と移転時期の予定が決定しましたので、ご案内させていただきます。

移転予定日 2016年10月17日(月曜日)
移転場所 東京都千代田区鍛冶町2丁目5−1 林精密ビル3F

[ここに地図が表示されます]

神田駅から徒歩2分(JR中央線・京浜東北線・山手線・地下鉄銀座線)
岩本町駅から徒歩7分(都営新宿線)
淡路町・小川町駅から徒歩7分(丸の内線・都営新宿線)
秋葉原駅から徒歩10分(京浜東北線・山手線・総武線・日比谷線・つくばエクスプレス)
新日本橋駅から徒歩4分(総武線)

現在の教室の約1.5倍の広さですので、現在よりもゆったりとしたスペースになります。

通いにくくならないように、なるべく近隣で探しましたが、小川町や淡路町をご利用の方には、少し遠くなってしまい、大変申し訳なく思っております。

皆様には、ご不便やお手間をおかけすることとなり大変申し訳ないのですが、今までスペースの狭さでご迷惑をおかけしていた状況を改善したいと考えております。

今後とも神田絵画教室をどうぞよろしくお願い致します。

神田絵画教室
蔵野春生

神田絵画教室の画像
神田絵画教室 2016/08/02 13:12

ぼんやり・・・その6 (またサイカチ)(佐藤)

戦前に撮られた映画「風の又三郎」の強い印象がありました。冒頭のウサギを飼っているシーンにはじまり、どれもこれもスクリーン空間に入って行ける心持ちでした。

わたしの場合、いまでも宮沢賢治の童話や詩・書簡などにおもいをめぐらす度に、戦前の映画映像の影響と空気感があると思います。

岩手県花巻の豊沢川の【さいかち淵】には樹齢数百年と言われるさいかちの巨樹が数本、北側の崖下に並び立ち、辺りいっぱいに枝を広げていたと言う。

もうありません。過去のお話です。現在の整地された場所に日がな1日【さいかち淵】、【まごい淵】に求めても、当時の気配はなかなか現れてはくれませんでした。風がわたる音や川の水の音に
身をまかせる次第。

さいかち『皀莢(そうきょう』。
山野、河原に自生し、茎・枝にトゲがある。高さ10メートル。葉は複葉、初夏に緑黄色の小花をつける。若芽は食用に、莢、豆果は薬用、古くは小袋等に入れて石鹸の代用にした。

丸の内線のお茶の水駅で降りる。地上に出る。JR御茶ノ水駅に向かう。駅から5分ちょっとでめざす【サイカチの樹】にあえる。

佐藤

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佐藤比呂二 2016/08/02 12:50
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