様々な展覧会が催されている。
駅等でも色んなポスターを見かけて、国内外の様々な芸術に触れる機会があることを知らせてくれるのだが、いかんせん中々美術館に足を運んで観に行くことが出来ない。中には開催していることにも気付かず見逃しているものもあるし、観に行きたいと思いつつ、いつの間にか終わっていることも少なくない。
以前、まだ予備校生だったころ、講師の方に怒られた記憶がある。曰く東京在住の有り難さを解ってないとのこと。その頃お世話になっていた講師達は地方の出身の方が多く、地元にいた頃は本物を観る機会に飢えていたそうだ。
美術館も多く、豊富に実物を生で観られる機会があるのを無駄にしてくれるな、と切々と説かれた。
さて、若冲展を観てきた。
感想は私の乏しい語彙では中々言い表せないので控えておくが、少し前に観た展覧会をいまだ引きずっている。
話題になっている展覧会でもあり、かなり混んでいたが、中には遠く北海道や九州から足を運ばれる方もおられるらしい。自分が上野が遠いなどと言ってはならんのだなと実感した。
書籍や画集、インターネット等も充実して様々に作品を観賞することは出来るのだが、やはり作品を間近で直に観るというのは写真や画像を観るのとは次元が違う凄さがあった。
観賞する機会が有り、環境にいるということに感謝したい。
柳田
前のはなしにもどります。
大雪の中での武蔵野美術大学/学部卒業制作展示。
重い扉は閉まったまま、断わりの貼り紙一枚。
鷹觜さんの展示室は、大雪のため、雨漏れ事故が起こり、作品を鑑賞できるものではなかったという。
携帯から聞こえてくる彼女の声から、申し訳ない作品ファイルだけでも観てほしいという、その後も申し訳ないを強く言う、いっぱいがつたわってきました。
彼女の卒業制作は見たかったのは事実です。
しかし、わたしにとっては朝からその日の大雪あれこれがおそろしく楽しかった。 景色や道行き。新雪を踏む感触や他のひとの踏み跡に自分の靴が続いたのも妙に感じたりしました。
彼女の展示は見れなかった。が、わたしはある感慨も起こりました。展示会場の建物は、私が在籍したときは四号館といっていた。まわり階段を上がればピロティーがまがりなりにも出現するもの。無用の装飾を排した機能主義近代建築をうたっていた。
時間は自然は流れます。そして雨だれ一滴は、確かに穿つことをしめしてくれました。
鷹觜さんはこの作品で優秀賞を冠したらしい。4月からは東京藝術大学大学院油画に進んだと人伝てにきいた。心から嬉しくなりました。
はなしはわたしのこと。わたしの卒制作の1点は「サイカチ」というものでした。
この樹の若葉、トゲ、鞘の様相が面白くてあきることがありません。サイカチ!今もつかず離れずわたしをここまであわせて来てくれています。
ある時、わたしの中に宮沢賢治さんが入ってきました。やはりどう考えても『サイカチ』もその縁でしょう。
3年前に偶然見つけました。JR御茶ノ水駅から歩いて5~6分のところに、その『サイカチ樹」はありました。
(次回に続く)
(講師・佐藤)
「Iさん」21×21cm 鉛筆・色鉛筆・ラシャ紙
5ヶ月前に免許をとった。
最近は少しだけ運転に慣れてきたこともあり、絵の題材探しも兼ねて、車で富山県は黒部市に行ってきた。
黒部に向かう途中、どこかで絵を描きたいと思った。
絵になる景色を探して2日間、安曇野や白馬をふらふらしたが、ずっと雨が降っていたこともあり、
どうにもそういった場所が見つからなかった。
仕方がないので予定を変更し、温泉や道の駅をめぐって、道中で買った推理小説を読んだりしていた。
自然の中でイーゼルにキャンバスを立てて、じっくり絵を描くつもりだったのに、最後まで絵の具箱は開けずじまい。
ただの観光旅行になってしまった。
いままでの旅行でも、簡単なスケッチをしたりすることはあるが、美術館を巡ったり、名所を巡ったりするのに夢中になっているうちに、絵を描く時間がなくなってしまう。
旅先の制作は難しい。
蔵野