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出会うこと巡ること・・・その2「迪(ふみ)さんの太腿、理(みがく)さんの地球人生」(佐藤)

奥井 さま
ご無沙汰しています。

2016年の暮れ28日、競輪の祭典「ガールズグランプリ2016」を見ました。私自身が驚く、信じられない大きな声を出してしまいました。
フェイスブックで奥井さんのお嬢さん迪(ふみ)さんが、女子競輪選手であることを知りました。一度もお嬢さんにはお会いしたことはありません、多少うかがっていただけでした。この日は、教員を辞めて競輪選手になった迪(ふみ)さんの応援です。

立川競輪場では、私のような手作り応援ダンボールプラカードは、誰ひとりありませんでした。係員からはまわりの人に迷惑にならない邪魔にならないなら掲げてよいとのことでした。私の居場所は人数の少ないゴールには程遠いところになりました。

強風のため、女子競輪は強風仕様の自転車になりました。スタートしました。

迪(ふみ)さんは一周目は後方につけています。今、僕の前を通り過ぎました。迪(ふみ)ちゃんー!とわたしより大きな声で応援する女性がいます。列は揺れ乱れ、迪(ふみ)さんが先頭位置です。でも、まだ残り一周もあります。

迪(ふみ)ちゃんー!!迪(ふみ)ちゃんー行けー!!僕の声は精一杯です。先頭は迪(ふみ)さん、譲りません。そして、最後の最後、ゴールで他の選手に差され抜かれてしまいました。2着ゴール。

ゴールを駆け抜けた女子選手の塊が近づいてきます。今、私の場所からは、強風をまともに受けるかたちになります。女子選手みんなゼイゼイとした息、下を向いて顔が上がりません、固まり一群のゼイゼイが伝わり聞こえてきます。ペダルを踏んでいるのは太腿でした。迪(ふみ)さんの腿は胴回りのようなパンパン太腿でした。選手の肩ごし背中に「ご苦労さーん」と私は声掛けになっていました。

2016年7月17日(日)は私の個展展示初日でした。そして、この日、奥井理(みがく)さんが亡くなった日と重なりました。半分偶然で半分は必然かもしれません。

理(みがく)さんが生きていたら、どんな話をしてたのでしょう、今でも、理(みがく)さんに会いたいと思っています。20年の歳月が過ぎてもあんまりですね。

詩人まどみちおさんは「宇宙人生」を言いました。奥井理(みがく)さんは「地球人生」と言いました。彼等の言葉はますます私の中の奥の奥に住みはじめています。

理(みがく)さんの妹さんがこんなに立派に私の前にあらわれました。妹迪(ふみ)さんは大したものです。勝負には負けましたが、誰よりも強風を受けても真っすぐにゴールを目指しました、真っすぐの意味を強烈に私にしめしてくれました。

奥井 さま
2016年12月28日立川高松町に吹く風を恨めしく思ったことはありません。

最後になりましたが、私の持参したダンボール手書き応援プラカードの文面は次のようなものです。

迪さん! ! 理は見たぞー!見てるぞー!

佐藤

佐藤比呂二の画像
佐藤比呂二 2017/03/31 16:08

愚にもつかない話(柳田)

今年も花粉が飛んでいる。悩ましい。
が、鼻をくすぐるのは花粉だけではなく、道を歩いているとふと良い香りに気付くことがある。
沈丁花。この花が昔から何となく好きだ。秋の金木犀、春先の沈丁花は目よりも先に鼻が見つける。気付いて辺りを見回すとどこかの庭先に咲いている。
人間は普段は感覚のほとんどを視覚に任せているところが大きいと思う。ほとんどと言うのは言い過ぎか、ただ視覚に頼るところは大だ。
だが嗅覚に時折驚かされることがある。記憶との結びつきだ。何かの匂い、場所の匂いを嗅いで、無意識に何かの場面が甦ることがある。それは記憶しているとも意識していないような、思考や知識とは別の部分にある記憶とでも言うか、皮膚感覚のレベルでゾワリとするような感覚だ。場面が丸ごと甦ってゾワリとすることもあれば、感覚だけで具体的なことが思い出せずにもやもやすることもある。
まだ寒いが外の空気が春の匂いになってきた。木の芽立ちはあまり得意ではない。沈丁花の香りで私が何を思い出すかは、秘密だ。

柳田

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柳田祐希 2017/03/03 14:13

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