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展示のお知らせ(孫崎)

数日前の寒い朝、
最寄り駅の踏切を渡ろうとしたところへ
カートを引いていく若者が前を横切っていった。

荷台にはプラスチックケース。
その中には見慣れた絵具がぎっしり。
油の入った瓶、無造作に突っ込んでいる筆たち、ぼろ布。

ああ、そんな時期だな。
同じ頃の自分を思い出す。
受験に向けて、毎日ひたすら絵を描く日々。
描けなくても無理やり描く日々。

20年。
その長さを改めて思い知らされ、ぞっとする。
あれから自分は何者かに成れたのだろうか?
あの頃から何か変わっただろうか?

一方でこの20年間、休むことなく絵を描いていたことも事実である。
描いてきた作品たちは過去の自分の集積だ。
その時はその時で一生懸命描いた作品。
それでも、しばらく経つと
つまらない作品に思えてくる。
そこで、また新しい絵に向かっていく。一生懸命描く。
またしばらく経つと未熟な作品に見えてくる。
そしてまた新しい絵に取りかかる。
永遠にこの繰り返しだ。
そうした時間の蓄積が無駄ではなかったと信じたい。

今現在の等身大の自分を見ていただく。
そういう思いで発表するグループ展です。
ご高覧いただければ幸いです。

「Sei Oggi ーそれぞれの今日ー Vol.2」
2017年1月30日(月)~2月4日(土)
am11:30~pm7:30(最終日はpm5:00まで)
うしお画廊 中央区銀座7-11-6 イソノビル3F

孫崎

孫崎かんなの画像
孫崎かんな 2017/01/29 22:22

立軌展(孫崎)

今年から立軌会という美術団体のメンバーとして
参加させていただくことになった。

他の美術団体と比べると40名強という
圧倒的に少ないメンバーで構成されているが、
粒ぞろいである。
そんな場所に縁あって肩を並べられることは大変光栄で、
それと同時に大きなプレッシャーでもある。

すでに夏前から出品制作に取り掛かり、
しかも今年はすぐあとに個展も控えていることもあって
夏休み返上で制作。

そして先日、その搬入で東京都美術館へ行ってきたところである。
会期はまだ少し先だが、この日は図録作成用の撮影のため
全員の作品が一足先に一堂に会した。

ある程度覚悟はしていたものの、それでも
自宅の狭い部屋で一人描いている時はそれなりに見えた作品が
並べられ広い空間にポツンと置かれると、なんと頼りないことか・・・。
撮影が進み、次々と他の作品を目の当たりにすると、
もう泣きたくなってくる。

作品制作を制作するにあたって、何が一番難しいか。
それは冷静に、客観的に、自作を見つめ
指摘する「眼」を持つことだと思う。
そしてその判断する「眼」も、
自分で鍛えていかなくてはいけない。

その時は完成した、と思っていても
時間が経ってから見てみると直したくなる。
描いては反省し、描いては反省し・・・
作品制作に終わりはない。

制作者にとって完全な完成など、
この世には存在しないのかも知れない。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、
モナリザに生涯筆を入れ続けたと伝えられている。
それは研究をすればするほど、
過去の仕事の改善点が見えてきてしまうからだろう。

作品は制作者の成長と共にあるのであれば、
今はまだ立軌会の中でも末端にいる私が、
この中で今後どれだけ自分を鍛え上げていけるかが勝負である。

今回の展示は、そんな目で見ていただけたら、
恥ずかしながら救われる。
もちろん他の作家方の素晴らしい作品も
ぜひ見ていただきたいと思う。

---------------------

第69回立軌展
10月13日(木)~28日(金) ※17日(月)休館
9:30~17:30(最終日~14:30) ※入場は30分前まで 
東京都美術館 1階第1展示室
や700円 大学生500円 高校生300円 中学生以下・70歳以上無料
「ゴッホとゴーギャン展」チケット持参の方は200円引き

立軌会サイト→http://ryukikai.jp/top.html

孫崎

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孫崎かんな 2016/09/20 20:20

黒田清輝とカラヴァッジオ(孫崎)

ここ最近、上野の美術館では展覧会が盛況だった。
若冲、黒田、カラヴァッジオと会期が重なり、
近い場所で3つもあるとついつい梯子をしたくなるものだが
なかなかそうも行かず(学生時代は体力に任せてよくやったが…)
会期中は毎週のように上野に通う羽目になってしまった。

若冲は言わずもがなの混乱ぶり。
展示内容も筆舌に尽くし難いほどの圧倒的なものばかりであったが、
残り2つの展覧会も色々と考えさせられる機会となった。

黒田清輝とカラヴァッジオ。
時代も画風もまったく異なるこの2人の作品を見ながら、
絵画において「リアリティ」とは一体何なのだろうと、ふと思う。

カラヴァッジオと言えば、
それまでは全方向的な光でしか描かれてこなかった絵画から
光源を一つに絞り、強烈な一方向だけの光線を取り入れて
聖書に書かれた人物やドラマティックな場面が
等身大で描かれていて
あたかも目の前で繰り広げられているように描き出した。

当時の人たちにとってそれは、書物でしか知らない人々を
まさに現実のことのようにリアルに感じられたのだろう。
カラヴァッジェスキと呼ばれる多くの追従者がヨーロッパ各地に広がり
いかに彼の手法が驚きと興奮をもって受け入れられたのかがよくわかる。

一方、黒田はフランスで印象派の技法を学ぶ。
色彩豊かに描かれた風景画や人物画は
カラヴァッジオとは違ったリアリティを描き出している。
それは自然の一瞬の輝きであり、空気感であり、
あるいは描かれた人物の人柄であったりする。
描かれているのは常に、その時その時で画家が感じたリアリティである。

方法は違えど、どちらもリアルを“感じる”作品である。
リアルに“見える”ものとは一線を画す。

ところが最近の世の中を見渡してみると
高画質テレビやCGゲームなど
『本物そっくりに見える』が何かにつけて宣伝され、
それが絵画においても、飛び出すような3D絵画や写真のような絵
(そのすべてを否定するわけではありません!)が
「リアルだ。リアルだ。」ともてはやされているのは
こうした風潮の影響なのかもしれない。

絵画においてリアリティとは表現する人と鑑賞する人がつながって、
初めて発生するものだと思う。
たとえ写真のように描かれていなくても、伝わればリアルなのだ。
作品と鑑賞者の中間に、リアリティは存在する。
2つ展覧会を見て、そんなことをつらつらと考えた。

孫崎

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孫崎かんな 2016/06/22 23:47
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